次男坊 さん

次男坊さんのレビュー一覧

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25件中1-10件

  • 70点 復讐者に憐れみを(0)

    2007年11月14日 to ブレイブ ワン

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    (C) 2007 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.

    「彼女の選択を許せますか?」と訊かれれば即座に「許せません。」と答えます。
    しかし映画としては許せます。

    復讐劇と言うより“ゴミ掃除”の映画でしたね。(この辺りは正に「狼よさらば」!)
    当然ながら、婚約者の命を奪ったゴロツキへの復讐であっても殺人は法的に許されませんが、主人公が法を破ることを承知の上で私刑を下すのであれば映画としては許せる行為です。
    しかし、ジョディ・フォスター演じる主人公が殺人にとりつかれ“ゴミ掃除”に精を出すと“復讐者への憐れみ”は消え去ります。
    目には目を、暴力には暴力を、毒をもって毒を制すアメリカ社会の危うさが凝縮された作品であり、決して銃社会を肯定した映画ではないと思います。

    主人公の行動は許せなくても、このような事件が実際に起こり得る、アメリカ社会の危険性を提示した作品として評価できます。
    マーサー刑事が事件の核心に迫る展開はスリリングで見応えがあり、ニール・ジョーダンの演出を堪能しました。

    しかし、彼女の選択より許せないのは、ラストでの彼(マーサー刑事)の選択です。あの選択をさせるには彼の描き方が余りにも不充分と言わざるを得ません。
    しかもあの結末では、銃社会や暴力を肯定した映画という誤解を与えかねないと心配になりました。

    また、ゴロツキが殺される場面でカタルシスを感じてしまう自分自身の良識も疑いたくなりました。いろんな問題を提起する映画です。

     

     

  • 80点 15年後のオン・ザ・ロード(0)

    2007年11月11日 to ONCE ダブリンの街角で

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    「ザ・コミットメンツ」のラストで、グレン・ハンサードはストリートでの弾き語りで日銭を稼いでいた。
    あれから15年、彼はやはりギターを持ってダブリンの路上に立っていた・・・。

    「ザ・コミットメンツ」の熱烈なファンとしては、このシチュエーションだけで感涙モノです。
    味のある髭面になった彼が、ボロボロのアコースティック・ギターを弾きながら熱唱する姿に、冒頭から思わず胸が熱くなります。

    とにかくこの作品は音楽がすべてです。主演の男女は役者ではなくミュージシャンであり、甘いロマンスなどなく、二人がセッションによって生み出す音楽こそが映画の軸になっています。すなわち映画の感動はすべて音楽の感動と言っても過言ではありません。

    また、この作品は作り手が演出しないことに徹している印象を受けました。作為を排してドキュメンタリーのように被写体にカメラを向け続けることで、歌からこぼれ落ちる孤独や渇望を拾い取る。そんな演出がこの作品では功を奏していると感じました。
    音楽に魅力がなければ映画自体もつまらないものになっていたと思いますが、歌に台詞以上の説得力があり、サントラ盤とセットにすることで魅力を増す作品だと思います。

    「ザ・コミットメンツ」の公開同時、私はバンドメンバーと同世代でしたが「お互い歳食ったなあ〜」と思いつつ、帰宅後に押入れの奥から埃をかぶったギターを取り出したのでした・・・。

     

     

  • 100点 最も幸福な映画体験(0)

    2007年11月11日 to ザ・コミットメンツ

    映画祭で観て、ロードショーで観て、名画座で観て、DVDで繰り返し観て、何度も観ているのに色褪せない愛すべき作品です。

    忘れもしない1991年の東京国際映画祭、敬愛するアラン・パーカー監督の最新作という以外の予備知識は一切なしで観に行きました。
    上映前にアラン・パーカー監督の舞台挨拶があり、監督が登壇すると客席から歓声が起こりました。興奮の中でソウル・ミュージックにのって映画が始まり、導入部でようやくバンド映画だと気付いた次第です。

    音楽のカッコよさもさることながら、アラン・パーカー監督のコメディ・センスに脱帽です。主要キャストのほとんどが演技経験のない素人でありながら、バンドメンバーのキャラがやたら濃くて台詞の一言一言に笑いが起こります。特にオーディションとジミーの“独りインタビュー”は思い切り笑いのツボにハマりました。(未だに思い出しただけで笑ってしまいます・・・。)
    テンポのいい展開とノリのいいソウル・ミュージックに心を鷲掴みにされ、当時の音楽事情を反映した小ネタの連続に場内は爆笑に次ぐ爆笑。演奏の場面では、曲に合わせて体を揺らす観客の姿も見られ、劇場は正にライブ会場の熱気でした。

    決してハッピーエンドでない、と言うよりバンドとしては最悪の結末なのに、これほど爽快な気分にさせてくれるのはアラン・パーカー監督の語り口の妙と熱いソウル・ミュージックのお陰ですね。この映画をきっかけにソウル・ミュージックに興味を持った人も少なくないと思います。私もその一人ですが・・・。

    低予算でスターなどいなくても、私にとって一生忘れられない最高の娯楽映画であり、映画祭の溢れんばかりの熱気の中でこの作品の興奮と感動を多くの映画ファンと共有できたことは最も幸福な映画体験として鮮明に記憶に刻まれています。

     

    共感:3人

     

  • 70点 ラブユー貧乏(0)

    2007年11月5日 to 自虐の詩

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    (C)2007「自虐の詩」フィルムパートナーズ

    映像においてもテーマにおいても決して趣味のいい作品とは言い難いのですが、力技で押し切られたというのが率直が感想です。作り手の狙いなのか、泥臭い演出がかなり鼻につきますが、画にインパクトがあり、しばらく頭から放れそうにありません。

    モデル出身の甘いマスクを封印して渡世人を演じた阿部ちゃんのちゃぶ台返しのインパクトもさることながら、幸江のクラスメートの熊本さんの存在感は圧巻でした。彼女が体をはって説く泥臭い人生哲学には説得力があり、貧しくても誰にも媚びない孤高の生き様が心に響きます。

    ただし、中谷美紀のキャスティングにはちょっと難がありますね。原作を読んでいないので漫画と映画のキャラのギャップについてはコメントできませんが、この役を演じ切るにはもっと大胆に“女を捨てる”演技が必要だったのではないかと思います。
    少女時代の幸江を演じた女優の貧相な顔(失礼!)が役にハマッていただけにちょっとギャップを感じました。

    余談ですが、喫茶店のマスター役のMr.オクレの出演は、かつての人気番組「オレたちひょうきん族」の中の「ラブユー貧乏」を想起させます。ロス・プリモスのヒット曲「ラブユー東京」のコーラスに合わせて何人トリオが貧乏自慢を繰り広げる「ラブユー貧乏」はこの番組の中で僕が最もハマッたコーナーでした。トリオの中でも貧乏臭さにおいて群を抜いていたMr.オクレは正に“King of 貧乏”であり、「ラブユー貧乏」を歌って空腹をしのいでいた僕自身の貧乏学生時代を思い出し、感慨深い思いに浸りました。

    まあ、いろんな意味で楽しめた作品です。

     

     

  • 90点 堂々たる傑作!!(0)

    2007年10月26日 to 父子

    唐突ですが、堂々たる傑作です。作品に風格が漂っているばかりではなく、映像に観る者を圧倒する力があります。

    鑑賞前に持ち合わせていた予備知識は、ウォン・カーウァイが師と仰ぐ香港の伝説的鬼才パトリック・タムの久々の新作であること、そして2006年の東京国際映画祭で最優秀アジア映画賞と最優秀芸術貢献賞を受賞したことのみ。

    まあ、タイトルから父と子の絆を描いていることは察しがつきますが、これほど破滅的で痛みの伴う作品とは想像できませんでした。
    アーロン・クオック演じる主人公は見事なまでの人間のクズで、博打→借金地獄→女房が蒸発→夜逃げ→ポン引き…と転落人生一直線!!
    そんな救いようのないダメ親父の姿が息子の視点から描かれています。
    アーロン・クオックと言うと「やたら顔の濃いアクション・スター」というイメージしかなかったけど、この作品は正にハマリ役で“スター”ではなく“役者”の顔を見せてくれます。相変わらず濃いけど・・・。

    パトリック・タム監督の作品を観るのは初めてなので、どんな絵を撮る監督なのか興味津々でした。ウォン・カーウァイに多大な影響を与えた監督と聞けば、よほど奇をてらった映像を見せてくれるのかと思いきや、意外にも手堅い演出に終始しています。…と言うより作品のテーマを観客の心に響かせるための最善の演出に徹した感があります。

    児童虐待の場面は鋭利な痛みを伴いますが“親離れ”のシーンで辛うじて救われた気がします。
    感傷に溺れず、人間の悲しい性を力強く描き切った傑作です。

     

     

  • 50点 才能がない!?(2)

    2007年10月15日 to めがね

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    (C)めがね商会

    冒頭の空港のシーンや自動車のナンバープレートなど地名の表示が隠されているため舞台となった場所を特定することもできず、また登場人物たちの背景も完全にボカされ、具体性がことごとく排除された抽象画のような映画です。

    更に、劇的なストーリー展開などなく、何も起こらない作品です。
    こんな映画を最後まで“魅せる”には作り手の高い手腕が求められますが、正直なところ荻上直子監督の演出力がそれほどの高みに達しているとは思えません。役者とロケーションにやや頼りすぎの感があり、映画作家としての仕事には不満が残ります。実際に鑑賞中何度かあくびが出てしまいました。

    何もせずに“たそがれて”過ごすという、浮世離れした非生産的な生活こそが実は人間らしい生き方であるかもしれないし、忙しさを美徳と思っている日本人のライフスタイルへのアンチテーゼという点では共感の余地もありますが、如何せんテーマが古すぎて目新しさが何も感じられません。
    都会の慌しい生活に疲れた主人公が田舎のスローライフで癒される・・・なんて予定調和的な話は星の数ほどありますが、それらの作品と比べて特にユニークな点が見付かりません。
    もっとも小林聡美演じる主人公が都会から来たか田舎から来たかも一切描かれていないので分かりませんけど・・・。

    田舎での生活がひたすらお気楽で楽しいものとしか描かれておらず、生活感が欠如しており、地に足のつかない絵空事のスローライフを延々と見せられても、ただ頭の中を素通りしていくだけで印象に残らない映画でした。

    まあ、こう感じてしまう僕には“才能”がないのかもしれません。

     

    共感:1人

     

  • 40点 ぬるいっ!!(0)

    2007年10月14日 to カンフー無敵

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    (C)2006 My Way Film Co.,Ltd

    ジャッキー・チェン、チャウ・シンチー、ホイ三兄弟、ジョン・ウー・・・など長年香港エンターテイメントを堪能してきた僕は、こんな直球勝負のベタなタイトルに血が騒いでしまいます。

    しかしこの映画は正直言って期待はずれでした。
    何かダメかと言うと、一言で言って映画として“ぬるい”んですよ。アクションにキレがないと言うより、エンターテイメントとしてキレがない。
    イップ・ウィンキンという監督のことは知らなかったけど、カット割りも場面展開も下手で観客を興奮させる術を心得てないようです。

    まあ、所詮B級カンフー映画ですから、主演男優に華がないのはご愛嬌。「カンフーハッスル」と役者が何人かカブってるけど、「〜無敵」は脇役のキャラも薄すぎっ!!

    カタルシスのないカンフー映画なんで“印籠を忘れた水戸黄門”のようなもの。
    この作品を観ると、ジャッキー・チェンやチャウ・シンチーが役者でありながら、いかに高い演出力を持っているか痛感します。

     

     

  • 70点 ほろ苦く味わい深い作品(0)

    2007年10月14日 to 厨房で逢いましょう

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    余りにも味に対してストイックな天才シェフの切ない恋を描いた、ほろ苦く味わい深い作品です。
    四六時中料理のことだけを考え、新しい味を追求して自分の舌で確認していたら、主人公のような体系で、しかも不器用な人間になるんだろうなぁと思わず納得しました。

    まあ、ヒロインがちょっと厚かましすぎるんじゃない・・・などど思いつつも、叶うはずもない恋に落ちたシェフが彼女のために料理の腕をふるう場面は楽しくも切なく胸に迫ります。

    シェフが次々と作り上げる想像力豊かな料理を目で堪能し、味によって満たされる人々から幸福をおすそ分けしてもらうだけで、この映画を観る価値があるかもしれません。
    本当においしい料理に出会ったとき、上品な食べ方などせず人間は本能に従ってむしゃぶりつくものなのでしょうね・・・。

    しかしながらヒロインの夫をステレオタイプの小悪党にして、ありきたりな愛憎劇になってしまった後半の展開にはガッカリ!
    愛情の伝え方を知らない不器用な天才シェフが極上の料理で相手を幸せにする、そんな成就しない恋物語に終始してくれれば深い感動が残ったと思うのですが、実に惜しい作品でした。

     

     

  • 80点 人間の想像力と可能性(0)

    2007年10月14日 to ミルコのひかり

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    人間の想像力と可能性を考えさせられる映画でした。

    主人公のミルコが映画を愛する気持ちは「ニュー・シネマ・パラダイス」のトトと変わらないけど、大きな違いは不幸な事故により視力を失ってしまったこと・・・。
    でも、ミルコは音でストーリーを語ることで自らの限りない可能性を見出します。

    ミルコがテープレコーダーとの出会いにより音の魅力に取り付かれ、友達の協力を得て才能を開花させていくシーンは実に心地よく、管理教育が子供の想像力を奪ってしまうことを痛感しました。

    ぜひ日本の教育者にも観て欲しい作品です。

     

     

  • 90点 刑事たちの魂の記録(0)

    2007年9月18日 to 殺人の追憶

    未解決事件の映画化ですから、言ってしまえば犯人が逮捕されないという結末を初めから分かり切って観ているのに、それでもこれほど強く引き込まれてしまうとは、ポン・ジュノ監督の手腕と役者たちの熱演に脱帽です。
    刑事を主人公にした犯罪映画は世界中に星の数ほどありますが、捜査の難しさ、犯人への激しい怒り、そして逮捕できない無念さがこれほど強く胸に迫ってくる映画は他にないのではないかと思います。

    ソン・ガンホの役作りは相変わらず見事ですが、「気まぐれな唇」のキム・サンギョンもまったく見劣りしません。ソウルから来た洗練されたクールな刑事と思いきや、事件に翻弄されて次第に正気を失って行く演技は圧巻でした。
    更に脇役に至るまで登場人物のキャラが濃く、男の顔にこれほどの迫力を感じさせる映画は稀有です。

    この映画に対する批判的な意見に目を通すと理由はほぼ同じで、余りに稚拙でしかも人権を完全に無視した捜査への嫌悪感、それから卑劣極まりない犯人が逮捕されないことの後味の悪さですね・・・。
    十数年前の韓国では、軍事政権下でこの作品に描かれたような重大な人権侵害が行われていたことは大きな驚きですが、昨今の日本の冤罪のニュースを見ると、我が国も大差ないような気がします。

    まあ、ミステリーだと思って観ると肩透かしを食らうと思いますが、この作品は、地を這いつくばって犯人を追い続けた刑事たちの報われない魂の記録として脳裏に深く刻まれています。

     

     


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次男坊 さん

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