わが青春に悔なし (1946)
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他を圧倒する存在感に女優の凄味を痛感
2008/05/13
by
牧坂満
リヒアルト・ゾルゲ事件を原案にシナリオ化された企画だったのですが、会社と組合との関係から大幅に脚色された経緯があるので不自然な部分が垣間見られる映画になってしまっています。主人公は強力な自我を持つ女性(原節子)が、反戦スパイ活動を行っていた男(藤田進)との恋愛により結婚からするのですが、男のモデルはリヒアルト・ゾルゲ事件での尾崎秀実であり、モデルの妻と同じ悲しみを体験することになるのです。
映画全編に流れる、現・京都大学の寮歌が効果的であり、青春時代への思い出が美しく感じられます。そして、特筆すべきは女優の原節子でしょう。前半のブルジョアのお嬢さんを演じているときは口紅がやたらと目立つ女性だなあ!と思っていましたが、映画後半の農村に舞台が移動してからは、他を圧倒する存在感に女優の凄味を痛感しました。正に、黒澤明監督の真骨頂がここにあり、画面にも力強さが漲ります。多分、黒澤監督なので、女優に全ての田植えを実際にやらせたのだと思います。だからこそ、自分の田が荒らされた時の怒りが本物となって噴出したのでしょう。
勿論、ラストにはヒューマニズム溢れる人間賛歌が描かれています。
【国立近代フィルムセンター】劇場鑑賞
【NHK・BSハイビジョン】鑑賞
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