白いカラス (2003)
»レビュー
ベクトルが3つ
2006/11/30
by
アキラ
この物語には3つのベクトルが見えました。
★書き手
差別的発言で裁判沙汰になり、妻と職を失った元大学教授と共に彼の私小説を書いて過去を穿り返そうとする。学生時代にあった北欧系の少女との恋愛。そして父親が黒人である事に苦悩する青春グラフティ。個人的にも親しくなるが彼を何処か客観的に捉えようとしてる。この人物を丸ごと捕まえようとするベクトル。
★元大学教授
30代の女との情事にハマりバイアグラ使ってまで関係を続ける老人。寂しかったのだろうか。自分をさらけ出して相手にも心を開いて貰おうとしてる。そんな彼の真意に女はなかなか答えてくれない。元お嬢様だったって若い頃の話にしたって何処まで本当か分らない。彼女の過去は元夫ってフィルターを通してしか見えない。心を開いて付け込まれる事を恐れる彼女に優しく丹念にアプローチし続ける。少しずつ彼女が殻を脱ぐ恋愛映画としてのベクトル。
★女の過去
不確定。ベトナム帰りの元夫がいるって事だけが事実。過去の恋愛には様々な脚色が付き物。丸ごと信じられる訳もない。彼女を諦めない限り相手の不確定な過去に振り回される。彼女の挙動から推測させるミステリーのベクトル。
何故ベクトルと呼びたくなるか。絡み合っていても実は交われないから。まるでひとつの話で3つのオムニバスを交互に見せられた気分だった。楽しめたそれぞれに要素にひとつづつ★をあげましょう。それにしても♪Heaven,I'mInHeaven〜ってずいぶん古ぼけたミュージカルの名曲を引っ張り出したものだ。確かウディアレンも使ってたけどスタンリードーネンの『トップハット』だったっけ。
1人がこのレビューに共感したと評価しています。
※ユーザー登録すると、レビューを評価できるようになります。
返信を投稿
Copyright©2008 USEN GROUP All Rights Reserved.







