ロッカーズ (2003)
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ロッカーズを語るための物語
2008/02/05
by
としぞ。
陣内孝則という人は、自分のことを面白い人間だと思っているんだろうな。バラエティやトーク番組に登場した時のはしゃぎっぷりを見るとつくづくそう思う。
そんな陣内氏の初監督映画の当作品だけれど、思いの他いい映画だと思った。かつて陣内氏がボーカルを務めていたバンド「ロッカーズ」の誕生から終焉までを描いた、所謂青春モノなのだが、こうした「バンド」を描くとき、メンバーのキャラを立てたいがために、各個人のエピソードを絡めながらストーリーを進行させることがあるけれど、その方法はとらずに「ロッカーズ」を総体として捉えたことが、ヘンに複雑になったり情緒的になったりせずに、80年代の空気感とともにその目指すところを表現するという成功につながったんじゃなかろうか。ロックはスタイルではなく精神だ、とはよく言われることだけれど、当時の時代の流れの中で、ロッカーズがどんな存在だったのか、陣内氏が想うロッカーズとはどんなものだったのか、が伝わってきたと思う。
特に、クライマックスのライブシーンは素晴らしく、カメラワークやカット割など目を見張るところがあり、初監督にしてはなかなか・・・と思ったら、エンドクレジットにライブシーンの演出に他の方の名前があり、ちょっと拍子抜け。しかしこれは賢明な判断。陣内氏の演出能力がどれだけのものかはわからないけれど、ある意味「肝」となるシーンを専門家の手に委ねたからこそ、迫力あるライブシーンが生まれ、結果ストーリーに厚みが出たのだと思う。
その一方で、陣内氏本人が登場したシーンを始めとした、時々挟み込まれる「ギャグ」と思しきものはちょっといただけない。おそらくは脚本にはなく、陣内氏の現場でのアイデアではないか、と見受けられるのだけれど、個人的には、ほとんどが上滑りの印象。バラエティやトーク番組なら場を盛り上げる効果がある(かも知れない)他愛のないギャグも、物語の場合には、ある種の計算がないとストーリーを停滞させるだけのものになってしまうことがある。まあ、彼ならではのサービス精神によるものなのだろうが、本人が自覚している(であろう)「自分は面白キャラ」の側面がマイナスに作用したと感じられ、この映画に於いては蛇足ではなかったか、と思った。
ラストの、ギタリスト・谷氏のエピソードを、ベタな「お涙頂戴」に走らず、あっさりとまとめたのは好印象。あくまで個人的な見解だけれど、ここで必要以上の深い演出をしていたら、ロッカーズを総体として見せることに破綻が生じ、視点にブレがでたのじゃないか、と思う。ここは、ギャグとは逆に、陣内氏の嗜好、というか、ドライなキャラが功を奏している。
人によっては、主人公である「ジン」や「タニ」以外のメンバーに感情移入がしにくい、或いは、ストーリー自体ありきたり、という印象を持つ場合もあるだろうけれど、この作品は、物語、というより「ロッカーズ」そのものを語るための映画だと思う。おそらくは、ライブシーンでのロッカーズの姿に、監督・陣内孝則の「ロック」を感じ取ればそれでOKなのだ。
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