007 サンダーボール作戦 (1965)
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地道なサスペンスこそ・・・
2002/10/30
by
Mの隠し玉
007シリーズ4作目。
NATOの爆撃機から原爆を強奪して、それをネタに英国を脅して大金をせしめようよ画策する、おなじみの犯罪組織スペクター【注1】 のNO.2、エミリオ・ラルゴとジェームス・ボンドの対決。
開巻しばらくのロンドン郊外の療養所でのシークエンスを除くと、ボンドの活躍はほとんど西インド諸島のナッソーが舞台となり、この熱帯海洋リゾートの雰囲気が水中活劇を中心とした冒険映画を盛り上げる。とにかく世界的に爆発した007ブーム絶頂期の一篇で制作側の鼻息は荒く、クライマックスに敵味方入り乱れての海中大乱闘が用意されるは、悪漢ラルゴの大型クルーザーは真ん中からまっぷたつに割れて水中翼船に変身するはで、お作りは前3作と比べ格段に派手となった。そんな大振りなアクションの見せ場だけがシームレスに連続する最近のシリーズの萌芽とも思える場面はあるけど、イアン・フレミング原作のプロットはそれなりに尊重され腰の据えたサスペンスもまだまだ健在ではあった。
カーニバルの喧噪の中で展開する地味な逃走劇もそのひとつ。パレードの人込みに逃げるボンドと見物をかきわけ包囲網を狭めるスペクタ−一味、短いカットバックの連続で高められる観客の緊張、美女の殺し屋がついにボンドを追いつめ絶対絶命のその一瞬に発射される銃声一発! しごくオーソドックスなサスペンスの盛り上げ方と、制作後40年も経た年月による映像感覚の劣化は今の観客をして”なんかショボイ見せ場!”と思わせしめるかもしれない。でもひたすら大がかりなだけで空虚な仕掛けと自作の貧弱なパロディ化で生き延びているだけ昨今のシリーズに必要なのは、この趣の地道なサスペンスの新しい演出感覚【注2】による再生ではないかしらん。
3作目の”ゴールドフィンガー”('64) を除き、この4作目迄の初期全シリーズ作を監督したテレンス・ヤングは、過去に観客から受けた場面だけを数値的に解析して次の作品に反映させる製作方針【注3】にイヤ気が差して本作を最後にシリーズを降りてしまった。さらにこれを追うように6作目以降のシリーズから抜けていったショーン・コネリー【注4】、また9作目が最後となったプロデューサーのハリー・サルツマン【注5】を含め、この気骨もまた現在のシリーズのスタッフに多く欠けているところなのかも。
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【注1】一般の人々にとってはおなじみでもなんでもないですね(笑)。でもイアン・フレミングが創造したこの悪の組織はアルカイーダとか、現代の国際テロリスト組織と想わせたりして妙なリアル感が・・・
【注2】演出をお願いするとしたら、思いきってガイ・リッチー氏。 また、”ビーチ”('00) の失態で不遇をかこっているそうなダニー・ボイル氏もいいかも。
【注3】ヤング氏は「コンピュータによる映画作り」とのたもうた。
【注4】ギャラ交渉不調のせいだったと云う説も。因みに7作目”ダイヤモンドよ永遠に”('71)に一回だけ復帰。さらに本人自らのプロダクツで本作のリメークとなる ”ネバーセイ・ネバーアゲイン”('83)が有り。新旧の出来栄えについては諸説あるが、投稿者には旧作の方がはるかに面白かった。出演スキップの6作目は”女王陛下の007”('69)。コネリー降板の余波か興行成績は極端にダウンし、新ボンド役に起用されジョージ・レーゼンビーのクビは哀れにもこの一本だけでフッ飛ぶハメに。
【注5】イオン・プロの007はこの人とアルバート・R・ブロッコリのプロデューサー2頭体制で製作が 進められて来たが、9作目”黄金銃を持つ男”('74)でコムビを解消し、 以降はブロッコリの単独体制へ。サルツマンは怒れる若者派の”土曜の夜と日曜の朝”('60) やのオーソン・ウェルズの”フォルスタッフ”('65) も製作、また007に肩を並べてスパイ映画ブームを作った”国際諜報局”シリーズ(マイケル・ケイン主演ですな)を企画・製作するなど、手掛けた作品にムダ撃ちの少ない骨のある制作者だった。 イオン・プロからの離脱理由は不明。もし御存じの方がいらしゃったら御教示を。
(1965年 イギリス テレンス・ヤング監督)
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Mの隠し玉さん
2008/03/25 by
牧坂満
「007・サンダーボール作戦」を見事に論評していることに感激しています。レビューで余り見かけない名前なのが残念です。正式に登録してもっと読ませて下さい。
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