新幹線大爆破 (1975)
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何度観ても面白い一級のパニックサスペンス
2008/04/24
by
としぞ。
今までに何度観たことだろう。大好きな映画のひとつです。しかし、レビューがわずか6件とは淋しいなあ。ほんとに面白いのに。
現在のように撮影技術が進化した時代なら、映像の面ではどんなシチュエーションの再現も、或いは創造も可能で、大きなスクリーンで鑑賞する映画だからこそビジュアルの充実が作品全体の評価を底上げすることがあるけれど、そんなもんが無くても、練り込まれた脚本、唸らせる演技、ツボを押さえた演出さえあれば面白いものはできるんだってことを証明する映画。
どなたかも書かれていたように、新幹線を舞台にした物語であるにも関わらず当時の国鉄の協力が得られず、重要なシーンはセット、そしてミニチュアによって撮影されており、正直「ちゃち」な印象は否めない。もし国鉄の協力が得られていたなら(※或いは、現在のようなCG技術があったなら)よりリアルな映像によって物語はさらに厚みを増しただろう、とは思う。だけど、逆に言えば、協力が無かったからこそ監督を始めとしたスタッフたちが、規制された枠組みの中で知恵を絞り、工夫をし、結果、稀に見るエンタテイメントとして結晶した、と言えるんじゃなかろうか。
この映画を観るたびに、30年も前のCGなんか無かった時代にこんなに面白いパニックサスペンスのエンターテインメント作品が作られていたのに、今の邦画の同じジャンルの映画はなんてダメなんだろうといつも思ってしまう。もちろん映像は、映画にとっての重要な要素のひとつだけれど、それは、「どれだけリアルな映像を作ることができるか」ではなく「映像としてどう表現するか」が作り手側の腕の見せ所ではないだろうか。CG技術の進化は「映画の映像」には格段の質向上をもたらしたけれど、同時に「映画の表現」には大きな弊害も生んだのではないか、と思う。要するに、映像に頼るところが大きくて、その映像を効果的に表現し、ストーリーの中でしっかりと昇華させる技量が欠けてしまっているような気がするのだ。
本作は、犯人が犯行を計画した背景、その犯人と捜査当局との駆け引き、新幹線爆破を阻止しようとする国鉄公安本部の苦悩など、ストーリーに関わる登場人物の人間模様が丹念に描かれ、かつ、爆弾処理を巡るサスペンスも過不足なく組み込まれた、まさに一級の娯楽作品だが、こうしたパニックサスペンスのルーチンとして、最後に事件が解決して大団円、観客はカタルシスを得る、というのが常道だけれど、それだけでは終わらせず、観客に「のどに刺さった小骨」を感じさせるような、ちょっと苦いエンディングを用意したのも秀逸。
ともあれ、いまどきの邦画に対して、なんだかぬるま湯っぽい印象をお持ちの方にぜひお薦めしたい一本。最高のエンターテインメントが楽しめるはずです。
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Re: 何度観ても面白い一級のパニックサスペンス
2008/04/23 by
ラブアゲイン
> この映画を観るたびに、30年も前のCGなんか無かった時代にこんなに面白いパニックサスペンスのエンターテインメント作品が作られていたのに、今の邦画の同じジャンルの映画はなんてダメなんだろうといつも思ってしまう。もちろん映像は、映画にとっての重要な要素のひとつだけれど、それは、「どれだけリアルな映像を作ることができるか」ではなく「映像としてどう表現するか」が作り手側の腕の見せ所ではないだろうか。CG技術の進化は「映画の映像」には格段の質向上をもたらしたけれど、同時に「映画の表現」には大きな弊害も生んだのではないか、と思う。要するに、映像に頼るところが大きくて、その映像を効果的に表現し、ストーリーの中でしっかりと昇華させる技量が欠けてしまっているような気がするのだ。
としぞさん、こんにちは。ラブアゲインと申します。貴方の上記のレヴュー、全くそのとうりだと僕も常日頃から思っていました。「CGがスゴイ!」という映画でも中身がスカな事が最近本当に多いなと思います。
あ、それと僕も本作は大好きな作品です。どうやらフランスに逆輸入され、向こうでもヒットした記録もあるようですよ。そして巡り巡って「スピード」の元ネタとなったのは・・・言わずもがなですね。どうも失礼しました。 -
Re: 何度観ても面白い一級のパニックサスペンス
2008/08/20 by
としぞ。
ラブアゲインさん
レスありがとうございます&返事が送れてすみません。
ご指摘の通り、本作はフランスを始めとした海外に輸出されましたが、佐藤純弥が描きたかったひとつであろう犯人側の背景エピソード〜町工場経営に失敗した男の人生を通じた日本の高度成長期への批判等〜は大幅にカットされ、犯人は単なるテロリストとして描かれていたようですね。要するに「パニックムービー」としての評価を得た、ということなのでしょうが、黒沢明作品以外にも海外で評価を受けたことは当時の日本映画界を思えば慶賀の至りではあるけれど、それが本質を省いた結果となるとちょっと複雑な気分です。
僕は、この作品のレビューを通じて、今の邦画に対して批判めいたことを書き、ラブアゲインさんもそれに賛同していただいたのですが、もし本作がリメイクされたなら、と考えるとついつい頭が痛くなっちゃいます。
たとえば海外輸出版のようにパニックムービーに徹してくれるなら、それこそ今の技術をフル活用してド肝を抜く視覚演出のパニックエンターテインメントに仕上がるかも知れません。まあそれは、徹底した娯楽作の発想でやっていただけるのなら構わない。だけど、今の邦画って、ストーリーにヘンに「感動」を組み込みたがるところがありますよね。ヘタな脚本家や監督が手がけたら、オリジナルに登場している犯人=健さんと妻&息子のエピソードなんかを必要以上にふくらませたりして、「感動」を免罪符に陳腐な「泣かせるドラマ」にしないとも限らない。そうなったら、海外輸出版よりもさらに本質を外した、いや、オリジナルとは似ても似つかない別作品になってしまうのじゃないでしょうか。
まあ、そんなことはリメイクされての話だし、単に杞憂なのかも知れませんが、この「新幹線大爆破」が稀にみるパニックムービーの傑作であると同時に、犯人・警察・国鉄公安の三者の心情・背景を巧みに織り込んだ良質の人間ドラマであると思っているだけに、昨今の邦画(※主にテレビ局等の資本が入った、所謂「大作」と呼ばれるもの)のぬるくておやすい製作傾向を思うと、ついつい心配になってしまうのです。リメイクされることに反対ではないのだけれど。 -
Re: 何度観ても面白い一級のパニックサスペンス
2008/08/20 by
としぞ。
↑2行目「返事が送れて」は「返事が遅れて」のミスです。お恥ずかしい・・・・。
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