アキレスと亀 (2008) »レビュー

涙、笑い、共感。

90点 2008/09/27 by vivie

アキレスと亀

『TAKESHIS’』、『監督・ぱんざい!』と、「訳分からんけど何か面白い」という作品が続いた後の北野作品、「今度は一体どんな映画!?」と、ワクワクしながら観に行きましたが、涙あり、笑いあり、訳も分かる作品でとても楽しめました。

第一部の少年時代、主人公に次々と襲いかかる不条理な悲劇。泣き虫の女中さんや寒々しい田舎の風景など、すでにここから泣き出してしまった私(笑)。特に少年の最後の表情には胸を突かれました。

第二部の青年時代は60年代あたりでしょうか。画家を志す青春群像に胸が熱くなり、仲間がひとり、またひとりと欠けてゆく寂寥感にやっぱり涙。でも、ハプニングのようなアートの場面が楽しかったですね。

ポップアート4連発はどのタイミングで登場したのかな。あまりにもインパクトが強くて忘れてしまいましたが、元の絵との落差に反射的に大笑い。そこで笑いのタガがはずれてしまったようで、そのあとは笑いっぱなし。悪魔の囁きのような画商のアドバイスに乗せられて、右往左往する中年画家とその妻。でも、笑っているうちにふと気がついた。自分だって、じたばたしながら生きてきたんじゃなかったのか、と。で、今度は共感の涙が・・・・。

悪戦苦闘しながら夢に向かって走り続けた主人公がアキレス、主人公の核に存在するただ絵を描くのが好きな自分が亀、というのが私の解釈。でも、そんなじたばた生きる人間を、北野武は否定していないとも思います。生きるということはじたばたすることなんだと、共感を持って見守っているような気もして、何だか感動してしまいました。

その感動の余韻か、帰り道では、ケバいネエチャンやイカレたニイチャンを見ても、「みんな生きてるんや」と、視界が滲んでしまうのでした(笑)。

たけし自筆の絵も楽しかったですね。「ポップアート4連発に大笑い」と書きましたが、最初の二作はモデルへの愛が感じられる素晴らしい作品でした(もっとじっくり見たかった)。ノック師匠の髪型が、とってもキュートだったわ。

 

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