シンドラーのリスト (1993) »レビュー

やっと観ました

90点 2005/01/29 by 倉島穂高

 どうもこの映画とは今までご縁がなかったようで観る機会に恵まれなかったのですが、ようやくレンタルDVDの順番がまわってきて観ることができました。もっと早く観たかったです。
 シンドラーという人がたくさんのユダヤ人を救った、という漠然とした知識しかなかったもので、てっきり杉原千畝のような立場の人がひたすら人道的見地から人助けをしたという話に違いない、という先入観を持って観たのですが、いい意味で裏切られました。彼が聖人君子どころか結構な俗物だったというところに私は大いに感心しましたよ。個人がおのれの利益をがしがし追求した結果、いつのまにやら人助けしちゃってるなんて、資本主義の究極の理想像ではありませんか。もちろん、物語の後半で彼は大いに人道的に目覚めるわけですが、ハナから道徳的な人物だったらこれほど感動的だったかどうか。私は「結果としての人助け」ってとても重要だと個人的に思っています。人助けをする「動機」に純粋さを求める人は少なくないだろうけれど、私はそこにはあまりこだわりません。逆に動機がどんなに清らかですばらしいものであったとしても、その人の行動が結果として役に立たなければ意味がないと考える立場です。だからシンドラーという人物にとても魅力を感じました。リーアム・ニースンも好演。DVDの特典映像にシンドラー本人の写真が何枚か出てきて、生き残りのユダヤ人たちも彼がどんな人物であったかを述べていますが、ニースンはイメージぴったりです。
 レイフ・ファインズも悪役の魅力きわまれり、って感じ。こちらの本物は腹の出たただのオッサンでしたが(ファインズもボテ腹体形を作っていますが)、映画としては敵役が美しくセクシーで正解。
 人物描写とストーリーと役者の演技はとてもすばらしいのですが、小さな欠点と大きな欠点がひとつずつ。小さいほうは、終盤で車に乗り込む前にシンドラーが涙にかきくれる場面。「ちょっとやりすぎかな……」と心の中で思ったら、まるでテレパシーのように夫が「これは脚色のしすぎだと思うぞ」と口に出して言いました。あの会話がたとえ実話だったとしても、カットしてもう少し淡々としてくれたほうがよかったと思う。
 大きな欠点は、戦況が全然見えない点。ナチスの暴虐もシンドラーの蓄財も、戦争という背景あってのもの。いくら直接爆撃される土地の話ではないとはいえ、あまりにも「背景としての戦争」が描かれていないので、チャーチルの勝利宣言がひどく唐突に感じられました。占めて10点の減点とします。

 

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