ゼア・ウィル・ビー・ブラッド (2007)
»レビュー
拒絶反応
2008/05/28
by
星空のマリオネット
傑作の呼び声も高く、この「映画生活」にも高評価の説得力あるレビューがいくつもあるのですが、私はこの映画の世界に入って行くことは出来ませんでした。
始まってからごくわずかな時間で拒絶反応が出てしまい最後まで克服できなかった。この映画監督の意味ありげな描写に対し嫌悪感を覚えてしまったのです。作為的な映画!
役者への芝居の付け方からして先ず生理的に好きになれないし、冒頭からほぼ間断なく続く意味深(いみしん)で大仰な音楽には本当に閉口させられました(弦楽器に一部打楽器なども組み込まれたやや前衛的でクラシック的な音楽)。何の変哲もないスローな映像に不安感を煽る無闇に大きな音量の音楽を被せることで誤魔化しているように見えたのです。
私には全てがわざとらしいというか、あざとく見えてしまったので、この映画の良いところを感じる目さえ曇ってしまったのかもしれません。
家に戻って確認してみたところ、この監督は「マグノリア」も撮っていたんですね。あの映画についても、蛙のシーンを別にしても何か気持ち悪いというか、まさしく生理的に受け付けなかったという記憶だけが残っています。「ブギーナイツ」も苦手でした。
ダニエルも神父イーライも、人間の理性では抑えきれない心の奥底にある醜い部分が極端に露出していて、そのまま短絡的で暴力的な行動となって現れてしまう。
その照り返しを受け、周囲の人間まで不気味に見えてしまいます。赤ん坊のぐずりと事故にあった子供の奇妙な叫びの一致。教会の善良な信者たちの洗脳された姿。
自分の精神の脆弱さの裏返しである、弱者に対する暴力や強者に対する強がり。
自分の進み始めた道に修正を加えることのできない人間のサガ。
強烈なエネルギーを持ったダニエルと神父であるがゆえに、その歪んだエネルギーは他者を飲み込んでしまう。
そんな巨大で卑小な人間を骨太かつエキセントリックに描いた作品です。
障害を持つにいたった息子からついに逃げ出したダニエルの弱さと悔恨。
血縁にこそ唯一の価値を見いだす彼が息子(分身)を失った絶望。自殺する勇気がなくても自身を終らせるにはどうすればよいのか!
好きではないけれど、ダニエルを演じたダニエル・デイ=ルイスの男には圧倒されました。
7人がこのレビューに共感したと評価しています。
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