つぐない (2007)
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喪失
2008/04/13
by
りんぼ
見終わった後の衝撃がかなり大きく、暫くスタッフロールを直視出来なかった。ラストシーンには本当にやられたという感じです。これはシャマラン監督のようなどんでん返し系の驚きではありません。
このラストは実に面白い構成になっていて、二重の入れ子のようになっている。この映画の全体構成が複数の目によるものになっていて、それが演出として効果的です。まさか「つぐない」の意味がそこにあったとは、全くの予想外でした。
このブライオニーの「つぐない」について意見も別れるところかもしれないが、作者は単純な良し悪しという視点よりもっと上のところから見ているような気がしてならない。それを「神の視点」と言ってもいいかもしれないが、その視点の悲しさはこの上ない。そういう悲壮感を描けていることも驚きです。
三部構成のこの映画はそれぞれが見事だ。第一部のイギリスの片田舎の屋敷は正にファンタジックな世界観であり、何もかもが美しい。登場人物、とりわけセシーリアとロビーの恋物語は背後に大きな危うさがあるからこそ輝きを増している。対する妹のブライオニーの歩調とタイプライターの音が実に象徴的で、いつ崩れてもおかしくない不安感がある。
ここのシーンが夢のように映るのは、正にこの喪失感があるからかもしれない。このシーンは「過去」であり、失ったものの象徴と見ることが出来る。
続く第二部の戦場は悲劇の連続だが、恐ろしいほどに現実感が無い。それは浜辺のシーンを見て強く感じたが、ここが半ば死の世界なのだろう。この映画の浜辺のシーンの長回しは圧巻で、ここのカメラワークといい、映画ではないものを見ている気分だった。
そして三部こそ、正に現実だろう。それが今、我々の居る場所ということにも胸を締め付けられる。
久しぶりに「凄い」と感じた作品だった。原作は未読であるが、いつか読んでみようと思う。
この映画を見終わった後、多くの人が途方に暮れるのではないだろうか? 実際、自分もそうで、こうされるとどう言葉を続けていいのかわからなくなる。今、考えるとそれを無理に言う必要は無いのかもしれないとも思っている。この映画を見て何がプラスで何がマイナスとか、そういう視点で見ることは無意味かもしれない。
一つ、気付いたことがあるとすれば「物語」というものがどういう素質を持つものなのか、ということだ。これは作家という人だからこそわかるものなのかもしれない。
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