父子 (2006) »レビュー

堂々たる傑作!!

90点 2007/10/26 by 次男坊

唐突ですが、堂々たる傑作です。作品に風格が漂っているばかりではなく、映像に観る者を圧倒する力があります。

鑑賞前に持ち合わせていた予備知識は、ウォン・カーウァイが師と仰ぐ香港の伝説的鬼才パトリック・タムの久々の新作であること、そして2006年の東京国際映画祭で最優秀アジア映画賞と最優秀芸術貢献賞を受賞したことのみ。

まあ、タイトルから父と子の絆を描いていることは察しがつきますが、これほど破滅的で痛みの伴う作品とは想像できませんでした。
アーロン・クオック演じる主人公は見事なまでの人間のクズで、博打→借金地獄→女房が蒸発→夜逃げ→ポン引き…と転落人生一直線!!
そんな救いようのないダメ親父の姿が息子の視点から描かれています。
アーロン・クオックと言うと「やたら顔の濃いアクション・スター」というイメージしかなかったけど、この作品は正にハマリ役で“スター”ではなく“役者”の顔を見せてくれます。相変わらず濃いけど・・・。

パトリック・タム監督の作品を観るのは初めてなので、どんな絵を撮る監督なのか興味津々でした。ウォン・カーウァイに多大な影響を与えた監督と聞けば、よほど奇をてらった映像を見せてくれるのかと思いきや、意外にも手堅い演出に終始しています。…と言うより作品のテーマを観客の心に響かせるための最善の演出に徹した感があります。

児童虐待の場面は鋭利な痛みを伴いますが“親離れ”のシーンで辛うじて救われた気がします。
感傷に溺れず、人間の悲しい性を力強く描き切った傑作です。

 

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