アヒルと鴨のコインロッカー (2007) »レビュー

いったい幾つの理不尽を乗り越えたら神様は...。

90点 2008/06/30 by ペンギン

アヒルと鴨のコインロッカー

しみじみと面白かったです。
予告編をさんざん観て、ここのレビューには「切ない」の文字のオンパレードで、正直「あれがどうなったら切なくなるんだろうか?」と、ずっと思っていました。
なるほどこういうお話だったんですね。
内田ケンジの「運命じゃない人」「アフタースクール」佐藤祐市の「キサラギ」本広克行の「サマータイムマシンブルース」etc...。
近頃このような頭脳派の作品が大流行の邦画界、ぼくは好きなので大歓迎ですが、この作品はそんなテイストを持ちつつ他の作品とは一線を画しています。
原作のせいか多分に文学的で、ゲーム感覚に陥らず心にずんずん響くシークエンスや台詞にに思わず引き込まれます。
この作者の小説は中編を一本読んだだけですが、何気ない日常をミステリアスに描くのが得意なようですね。
この映画がさらに他の作品群と次元を違えるのはそのテーマにどうしようもなく「残酷な現実」を抱えているところで、そこがしっかりと揺るぎないからこそ、ミステリアスに、トリッキーにシナリオを組み立てても単なるパズル映画に終わらないわけです。
スクリーン上でそれを支えているのは誰よりも松田龍平の存在で、彼なくしてはこの映画はあり得なかったでしょう。
TVドラマ「明日の、喜多善男」でも思いましたが、既に両親のイメージを離れ独特の存在感を持つ俳優になったと思います。役者としては演技力も含め父親を超えましたね。原田芳雄でも松田優作でもない新しいダーティヒーローです。

それにしても、テーマからは外れるんでしょうが低能な警察官が妙にリアルでした。
あいつらのせいで最悪の事態を招いたのは間違いないでしょう。いかにもありそうなのが一番腹の立つところです。

 

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