夕凪の街 桜の国 (2007)
»レビュー
運命を引き受ける強さ
2007/08/22
by
ミミッチ
こうの文代さんの原作にいたく感動し、
公開されたら絶対見に行こうと思っていた作品でした。
既に多くの読者を得ている原作は、被爆から復興に向かう時代における、広島の人々の暮らしに差す原爆の影を抑制の効いた筆致で描いた「夕凪の街」と、被爆者を父に持つ現代の女性(「夕凪の街」の主人公皆実の姪にあたる)の視点から被爆体験を捉え直す「桜の国」第一部・第二部の、三部構成からなる作品です。
「夕凪の街」「桜の国」とも、重要なセリフはほとんど改変されず、基本的には原作を忠実になぞっている印象を受けました。
(皆実の「落ちたんじゃのうて、落とされたんよ」を除いては)
映画単体としての出来を評価するとなると、数名のレビューアーの方が指摘されているようにいろいろと気になる部分もあるかと思います。
しかし、様々な制約がある中で原作のテイストとメッセージを大きく損なうことなく映像化・一般公開が行われたことの意味は大きいと個人的には思っています。
思春期の数年間を広島で過ごしましたが、自分が原爆について「知っている」と思っていたことの内実について改めて考えさせられました。
60年余の歳月は被爆の記憶を確実に風化させているように思われます。
この映画によって、現代を生きる一人でも多くの人が、原爆を「自分たちにつながっている問題」として認識していただければと思います。
興行的には厳しいものがあると想像しますが、一人でも多くの方々に見ていただくことを期待します。
原作未読の方は、こちらも是非。
5人がこのレビューに共感したと評価しています。
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Re: 運命を引き受ける強さ
2007/08/22 by
taru
>>ミミッチさま
>皆実の「落ちたんじゃのうて、落とされたんよ」を除いては
原作ではこの言葉はなく、映画の脚色なのですか。私は原作未読なもので。。
ご存知かとは思いますが、長崎では<原爆落下中心地碑>がありますが、広島では<爆心地>と言いますね。なぜ長崎では「落下」中心地というのか知りませんが、「落ちたんじゃのうて、落とされたんよ」というのは、ヒロシマの人間にとっては当たり前の事柄でして、あそこで皆実がああいうことを言うのはやや唐突ではあっても、私的には納得できるものでした。ミミッチさんはどのように受け止められましたでしょうか。 -
Re: 運命を引き受ける強さ
2007/08/25 by
ミミッチ
taruさん
レス有り難うございます。
レビューに書かせていただいた通り、私は原作から入って原作との対比を常に念頭に置いて鑑賞していたのであのような記述となりました。
観終わってから確認したのですが、やはり原作にはない台詞でした。映画化に当たって、脚本・監督のレベルで、原作のメッセージをより的確に伝えるための手段として付け加えられたものと想像しますが、原作者の選択した表現とは微妙にニュアンスが異なってくると感じました。映画は原作とは切り離して、独立した作品として見なければいけないということでしょうか。(蛇足ですが映画パンフの原作者インタビューで、こうのさんは「私は、映画のなったらそれは監督のものだと思っていますし、下手に口を出さない方が・・・」と述べられています)
個人的に、あの場面で皆実が「落とされた」と言うことに、違和感を感じるということはありませんでした。ただ、原作者こうのさんがそのような直截的な台詞ではなく、原作P32のような表現を選択されていることからすれば、一歩踏み込んだ表現であり、メッセージの伝え方としてかなり異なった印象を与えるのではないかと感じました。
改めて、taruさんには是非、原作を一読いただくことを希望します。 -
Re: 運命を引き受ける強さ
2007/08/26 by
taru
>個人的に、あの場面で皆実が「落とされた」と言うことに、違和感を感じるということはありませんでした。
そうですね。
原作では「原爆を落とした人は。。」と言っていますから、原爆を「落とされた」というのは、改めて言うまでもない事柄ではありますね。
>改めて、taruさんには是非、原作を一読いただくことを希望します。
ありがとうございます。
私も原作を読んでみました。ネタばれになるといけませんので、掲示板の方へ書いてみたいと思います。よろしければ、ご覧ください。
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