ゆれる (2006)
»レビュー
全体を覆うトーンが重苦しい
2007/03/14
by
星空のマリオネット
「ゆれる」は登場人物の心情と行動が激しく振れるさまを見事に描いて、傑出した作品になっている。
存在しているだけで身勝手でナイーブな主人公になりきってしまう弟役の「オダギリジョー」。抜群の演技力で人間の弱さと醜さと慈愛を一瞬のうちに演じ分ける兄役の「香川照之」。この二人に対して、彼ら兄弟と三角関係にある「真木よう子」と父役の「伊武雅刀」が絡み、さらに弁護士の「蟹江敬三」と検察官の「木村裕一」がえぐる。
男女関係を含め、畳み掛けるような人間関係の描き分けが素晴らしい。また、ラストシーンの救いのインパクトは強烈で、共感!
また、本作では香川照之の怖ろしいまでの演技に驚かされる。ちょっとした背中越しの横顔や口元に、戦慄のリアリティーを見せる。昨年の各映画賞での助演男優賞受賞に納得。
しかし、全体を覆うトーンが重苦しいモノトーンでありすぎるため、観ている方としては辛い。統一感があるといえばあるのだが、緩急の「緩」が常に「急」の複線になっているという息苦しさから逃れることができず、それが単調なイメージとなって跳ね返って来るように思う。
「感心させられる映画」を超えて、「愛される映画」になるためには、何か突き抜けたものが欲しい。
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