角川ヒロイン 第三選集 [DVD]

『角川ヒロイン 第三選集 [DVD]』を価格比較。★★★☆(68点)『早春物語』に対するみんなのクチコミ情報などもあります。

角川ヒロイン 第三選集 [DVD]
67点
監督 澤井信一郎, 崔洋一
出演 薬師丸ひろ子,原田知世,渡辺典子
発売日 2001年6月22日
定価 10,395円(税込)

 

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商品詳細情報

販売元 パイオニアLDC
発売日 2001年6月22日
リージョン 2
ディスク枚数 3
形式 DVD

関連商品

映画生活ユーザーによる「早春物語」のレビュー

  • 80点 1985年、鎌倉、春きたりて去りぬ

    2008-03-14  by Baad

    このころの日本映画は内容はともかく、時代風俗とロケ地の地域性を上手に生かしているものが多いのですが、この作品はその辺の部分ではとりわけよく出来ている映画です。
    少女達のたまり場となっているカフェテリアのロケーションと客層に若干違和感を感じるとは言うものの、年齢を1−2才上げれば実際の当時の風俗と照らし合わせてもあまり不自然さのない仕上がり。

    リアルタイムで映画館で鎌倉駅での瞳と麻子の会話のシーン見たときの驚きは今でも忘れることは出来ません。それに続く梶川に誘われて行ったバーティーで瞳が歌うシーンも時代の空気を上手く取り入れていて新鮮でした。
    鎌倉は、市内に松竹の撮影所があることもあってか、映画のロケーションとしては良く使われるのですが、街自体の雰囲気や実際の住民の生活感覚を上手く作品に取り入れている映画は意外に少なく、この映画以外では、小津のいくつかの映画と『ツィゴイネルワイゼン』位しか思い当たりません。

    ロケーションや風俗の写し方が自然であるのに反して、原田知世さんには、デビュー当時のローレン・バコールを意識したかのような演技指導がなされているようです。こちらは澤井監督の趣味が全開という感じでそれなりに面白いのですが、原田さんの歯並びの悪さが気になって折角の演技が映えていなくて少し残念。当時の流行が1930〜40年代風だったことから採用した演出法だったのかもしれませんが、この路線、今やったら面白そうです。根岸監督に続いて、と言っては何ですが、近いうちに夏休み公開の小品としてでもぜひお願いしたいところ。

    赤川次郎の原作は当時読んだ覚えがありますが、赤川次郎にしては珍しくかなり暗く、セールスポイントの中身の薄さをあまり感じない作品でした。もっともこの映画では瞳の家が江の電沿線にあることと、些細な思い違いがきっかけで、年上の商社マンに瞳がのめり込んで行く、という部分以外は全くと言っていいほど違う話に書き換えられています。荻野目洋子と北大路欣也でテレビの連続ドラマ化もされましたが、こちらの方がまだ原作に近かったかもしれません。時代の気分の描写としては、映画が一番優れていて、単なるアイドルものには収まりきれない面白い作品に仕上がっています。

  • 70点 断然ゴヒイキの澤井監督作品

    2008-02-24  by nonoyamasadao

    さてここで、春らしい映画の話題をちょびっとカマさせて頂けると、とても嬉しおす。←ヤッパ、奇怪な日本語だ。

    澤井信一郎は断然ゴヒイキの監督だが、“早春物語”という小佳作がある。
    澤井は監督デビュー作“野菊の墓”から瑞々しいタッチが横溢していて、話芸がデリケートだった。新人離れしていた。
    松田聖子さんがヒロインなのだが、このころは匂うような初々しさがあった。
    今日の花魁道中のような風情など、微塵もなかった。

    人生の早春がテーマのような映画だ。
    原作は、赤川次郎の同名小説だ。
    17才の女の子が少し、生臭く撮られているので、いかにエロ親父の僕でもかな〜り赤面するような内容になっている。
    けど生臭く撮っているというのは、ほめ言葉である。

    撮影は仙元誠三だが、冒頭の俯瞰からの撮影や、ロングショット、クレーンなど、この時代はダイナミックだった。
    冒頭すぐに、海岸を臨むカフェテラスで原田知世と仙道敦子が、オレンジ・ジュースを飲んでいる場面がある。
    ここの移動撮影は、“セラー服と機関銃”のマンションの移動撮影とまったく同様である。
    どちらも仙元誠三だが、このころはよく動くカメラだった。

    ワンシーン・ワンカットだが、相米ほどムリはない。カットつなぎが絶妙だった。

    上で書いたカフェテラスのシーンの直後に、江ノ電の鎌倉高校前の日坂のシーンがある。

    原田知世が石段を上っていると、江ノ電から降りた田中邦衛と由紀さおりが後を追う場面である。
    カメラは後方から少し仰角で原田の後ろ姿を追い、追いついた田中邦衛たちと石段を上る少し俯瞰のシーンに切り替わるところがある。
    カットは割ってあるのだが、実に見事につないでいる。
    このシークエンスは、数年後に、大林宣彦が“ふたり”のラストシーンで、かなりまねている。

    原田知世は高校の写真部に所属する17歳である。父の田中邦衛は、大家である由紀さおりともうすぐ再婚することになっている。
    春休みである。
    原田はカメラをかかえ鎌倉の町を歩く。
    杉本寺(杉本観音)、鎌倉の大仏などを彷徨して来迎寺に来る。

    来迎寺の入口の正面には石段があり、その左上に桜が満開になっている。桜を撮りたいが,車が邪魔している。
    かくて車を運転してきた林隆三と知り合うが。。。。というボーイ・ミーツ・ガールの話だ。


    まあ、早春らしい映画である。人生の早春の17才の女の子の背伸びした恋物語である。
    神田のニコライ堂のそばの女坂など、ロケーションが楽しく、ロベール・アンリコの“若草の萌えるころ”に似た味わいがある。

    いま、赤川次郎の“早春物語”の原作本を探していたが、なかなか見つからない。
    そのかわりに“ふたり”が見つかった。

    映画は克明に覚えているのだが、原作はどうだったか、忘れてしまった。
    解説を読もうとおもったら、なんと、鶴見俊輔が書いているではないか。
    “思想の科学”の鶴見俊輔が?である。驚いてしまった。

    少しパラパラ繰ってみた。
    赤川次郎の全作を読んでいると書いている。まだ、読んでいないのがわかると、うれしいとも書いている。
    あれれ、これはいったい、どうしたことか。

    考え込んでしまったが、次のくだりを読んで得心がいった。

    以下に、書き写しておこう。

    “完全な絵空事。肉体的重さのない主人公たちがくりひろげるスピーディーな劇の展開。そのめざす終点は、私が実人生でめざしている目標といくらか交錯しているところでもある。そうでなくては、この人のどの著作も読むという習慣はできない”
    と書かれていた。

    ふ〜ん、一昨晩にコスタ・ガブラス監督の“ミッシング”を見て、ボンヤリと思っていたことがあたまをかすめた。
    “ミッシング”は、1973年のチリの軍事クーデターを描いた政治サスペンス映画の傑作である。

    ヘンリー・キッシンジャーを筆頭に、アメリカ政府、アメリカ有力企業、CIAのチリ軍部への政治的関与を暴いた傑作である。
    アジェンデ社会主義政権に対して、チリの軍部やアメリカに支援された反政府勢力によるクーデターである。
    首都のサンティエゴは瞬く間に、軍に制圧された。

    戒厳令、走りまくる装甲車、銃声、街のいたるところに血をしたらせて転がる死体。
    不穏な空気が圧倒的なスケールで演出されている。また、ジャック・レモンは畢生の熱演といってよいだろう。

    こういう状況の中で、アジェンデ政権の中枢にいた組織サイバネティクスの始祖スタフォード・ビアは命辛辛逃げたのだろうなとか、
    スペンサー・ブラウンの算法を駆使した、位相数学の天才で医者のフランシスコ・バレーラもフランスへ亡命したんだっけなあ。。。な〜んてしみじみ考えてました。

    だが、大男が“これでもか”とばかりに、力みかえって鉄アレイを持ち上げる様のような演出方法が重たくも感じた。
    いささか辟易したのも事実だった。

    そっかあ、自分の思想らしきものを語るときは、あまり肉体的な重さはないほうがよいのかもしれない。そんなことをふと思った。
    なんか深いことなんだろうなあ。

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