黒澤明 : THE MASTERWORKS 3 DVD BOXSET

『黒澤明 : THE MASTERWORKS 3 DVD BOXSET』を価格比較。★★★☆(74点)『どん底』に対するみんなのクチコミ情報などもあります。

黒澤明 : THE MASTERWORKS 3 DVD BOXSET
74点
監督 黒澤明
出演 三船敏郎,山崎努,加藤武,大河内傳次郎,沼崎勲
発売日 2003年2月21日
定価 41,580円(税込)

 

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商品詳細情報

販売元 東宝
発売日 2003年2月21日
リージョン 2
ディスク枚数 8
形式 DVD

関連商品

映画生活ユーザーによる「どん底」のレビュー

  • 80点 方向を見失ったエネルギーの爆発

    2008-09-29  by 牧坂満

     「どん底」は、マキシム・ゴーリキの戯曲を土台にして、江戸時代の貧民窟で生活する最も貧しい人々の生活を描いています。黒澤明監督は後に自分では初めてとなるカラー作品「どですかでん」でも、絶望的な状況においても、人間は尚も希望を持って、希望を語ることによって生きていることを美しく謳い上げていました。絶望的であるためにバカバカしい程陽気に振舞う人間たち、彼らは赤貧を楽しんでいるかのようにも見えます。貧乏に居直った人々のふてぶてしくも滑稽な言動と行動それらを描いた殆どの場面は喜劇なのですが、腹の底から笑える映画ではありません。

     その登場人物たちの舞台が道路の下にある木賃宿になるのです。村木与四郎の美術による木賃宿は斜めに傾き、材質の木材は殆ど腐食しています。黒澤明監督は「夢」でも、いかりや長介という喜劇役者を起用し、「どですかでん」でも伴淳三郎という喜劇役者をキャスティングしていますが、「どん底」での、巡礼の左ト全、貧乏役者の藤原釜足、駕籠かきの渡辺篤、下っぴきの上田吉次郎は元々が黒澤一家の芸達者な俳優たちが見事な喜劇役者として貧困による悲惨さを面白そうに見せてくれるのです。主人公の三船敏郎も「七人の侍」でのコミカルな演技で喜劇役者としての一面も披露していました。

     「どん底」のラストシーンは、馬鹿囃子は合唱から踊りになります。木賃宿の住人たちがみんな、バラバラに食器や器具を楽器代わりにして、交錯するように踊り狂うのです。非常にバイタリティ溢れる場面ですが、逆に不安定さもあり、幕末に大流行して映画化もされた今村昌平監督の「ええじゃないか」のような方向を見失ったエネルギーの爆発を感じます。そして、絶望的な中にあって、きらりと光るセリフを残していた巡礼の左ト全はいつの間にか姿が見えなくなっています。あの巡礼は"神"だったのでしょうか。

     【国立近代フィルムセンター】劇場鑑賞
     【NHK衛星第二放送】鑑賞

  • 100点 あの老人が素晴らしい

    2007-07-20  by Shiro

     楽しんだ。個性的な登場人物たち。非常に限られた空間からついに一度も出ないで繰り広げられる、実にうまい役者たちの演技を堪能した。

     何かまるで舞台劇を見ているみたいだなあ、と思って見ているうちに本当に演劇が原作であったことを思い出した。それで原作のゴーリキー『どん底』を読んでみた。登場人物も筋書きもほとんど原作どおりだ。ゴーリキーの脚本を読みながら、それぞれの登場人物のしぐさや口調が映画で見たまま自然に浮かんでくる。巡礼ルカのせりふを左卜全演じる嘉平じいさんの口調で読むと実にぴったりなのだ。

     映画ならではの点はクローズアップの表情を楽しめることだ。その点、たとえば中村鴈治郎演じる大家が三船敏郎演じる泥棒と並んで緊張が走る瞬間とか、藤原釜足演じる役者が酒をあおってからこの家を出て行くときなど、忘れがたい表情の演技があった。

     最後の口三味線のおどりは面白い。特に太っちょの駕籠かき・津軽が吊り包帯をしたまま踊っているのがすごく面白かった。この人は藤田山という本物の力士だったのですね。

     左卜全演じる老人には参った。あのように周囲のみんなに安らぎと励ましを与えられるような老人に自分はなれるだろうか?この映画は泥棒がいなくても成り立つが、あの老人が出て来なければ成り立たない。だからあの老人が主演と言って良いかも知れない。

     ところで、このようなどん底の人々の生活をユーモアや音楽を交えて描写した映画に、フィリピンのマリオ・オハラ監督による『防波堤の女』がある。『防波堤の女』に登場する人々はみな、やむにやまれぬ事情でマニラ湾の防波堤の外側に住み着くことになった。誰もがそこから逃げ出したいと思っているが果たせない。防波堤のすぐ後ろは公園でその背後には近代的なビルが並んでいる。富者が全く関心を示さないところでわずかなものを分け合って暮らす人々を描いていた。『どん底』はそのような社会的視点をほとんど持たない代わりに、最底辺の生活を通して、我々誰もが持っている醜さ・優しさを見せようとしている。

     もうひとつ同様の映画は、もちろん同じ黒澤による『どですかでん』だ。この映画も登場人物がみな恐ろしく個性的という点では『どん底』に劣らない。しかし、『どん底』の方がはるかに登場人物同志につながりがあって描写が豊かである。この点はゴーリキーの原作の素晴らしさである。

  • 90点 ピーヒャラリ

    2008-09-04  by タコス

    雑居部屋とその周囲5mくらいって感じで非常に狭い空間の話なんですけどそのシチュエーションがまずいいなと思います。

    一つの雑居部屋(?)みたいなところで暮らす人たちの群像劇なんですけど、これは「あきれめている人たち」の物語だと僕は思うんです。

    そこにお遍路まわりのじいさんがふらりとやってきていなくなる、そのじいさんと会う事である種の「欲望」を持ち始める人たちが出てきて・・・て感じで話は進むんですけど、「あきらめる」・「あきらめない」どっちがいいとかじゃなくて、まぁ色んなことに関する視点がすごく冷静です。冷静すぎてまさに「どん底」なんですけど、そうかと思うと理屈屋さんも書いていらっしゃいますけど口真似セッションのシーンとか「そーでもねぇよ」みたいな場面があったりして非常に面白いです。そういうもんかもなーっと納得しました。ある意味、裏「生きる」だと思います。

    またその口真似セッションの場面がすごくいいんです。ヒップホップのフリースタイルみたいな感じもあったりしてなんかかっこいいんです。日本の音楽文化もなめられません。このシーンだけでもいいもん観たな〜っていう満足感がありました。

  • 30点 違。

    2008-10-06  by サカモト

    ちょうど舞台が始まったから観ることにした。
    長屋を使ってのどん底
    ゴーリキーの戯曲も読まなくちゃなんとも言えないなぁ、と思う。わざわざ長屋の設定にしてやる意味が見えなかった。

  • 80点 面白かったですが

    2008-10-03  by yoshiyo

    BS録画の字幕ナシがきつかったのでDVDを借りて視聴。
    いい感じに引き込まれて最後まで一気に見る事ができました。
    ただちょっと長めのエピローグに違和感が。。
    ゴーリキーの予備知識なしで見ましたが原作のあらすじを追うと無情感を残すにはちょっとあのオチはストレート過ぎる気がしました。
    江戸時代の貧乏長屋の風俗が実に面白い。
    あの80年代の初期のラップのような歌踊りが実に良い味を出してます。
    黒澤監督はああいうの上手いですね。

  • 60点 どん底な人たちをただ観る

    2005-01-15  by 理屈屋

    いろいろな事情があってどん底生活をしている人々を、まるで観察でもしているかのような映画でした。
    でも、その人たちの抱える事情などは、ほとんど説明がありません。その人たちが自分自身で身の上話をしたりしますが、それも、嘘か本当か分かりません。
    だから、その人たちに同情したり、軽蔑したりできませんし、これからどうなるんだろう、どうするんだろう、なんてことも非常に気になるものの、全く予想できません。「なるようにしかならねえよ」と登場人物の台詞にありますが、全くそのと通りの感じを抱きながら見させられることになります。
    左卜全さん演じる、お遍路のお爺さんが、かなり注意を引く意味深な存在なんですが、見終わった時「一体あいつは何だったんだ」って思うことでしょう。
    そう言えば、この作品自体も一体何だったんだって思います。
    敢えて、私的に見所かなと思うのは、登場人物たちが和楽器の音を口真似してする、セッションです。何となくジャズのセッションを見ているような感じがして楽しいです。日本の伝統的な音楽に少し興味を感じられるかも知れません。
    「人間とは?人生とは?」とかを問いかけて来ない感じで、「とにかく見て何か感じていただければ幸いです」みたいな、ちょっと普通の映画と違うインパクトのある映画でした。興味のある方は見てみて、感想を聞かせて下さい(感想を聞かせろって感想も如何なものかと思いつつ)。

  • 70点 見事なディテール

    2004-11-18  by アキラ

    村木与四郎と組んだ事のある某ディレクターに聞いた話では、
    黒澤映画のセットはほとんどがハリボテではなかったそうだ。
    セットで役者が演じる対象者と同じ生活をしても困らない程に
    作り込まれていたらしい。空ける予定のない引き出しにも
    生活用品が詰め込まれ、毎日使うはずの物はそれだけ劣化している。
    この汚しへのこだわりは資金があった当時ならではだが
    おかげで今となっては到底真似できないリアリズムを生んでいる。

    窪地の集落を舞台にした生々しいやりとりが力強く迫って来る。
    話としては少し物足りなさを感じたがディテールは実に見事です。

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