ゼア・ウィル・ビー・ブラッド
『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』を価格比較。★★★★(76点)『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』に対するみんなのクチコミ情報などもあります。
| 監督 | ポール・トーマス・アンダーソン |
|---|---|
| 出演 | ダニエル・デイ=ルイス,ポール・ダノ,ケヴィン・J・オコナー,キアラン・ハインズ,ディロン・フレイジャー |
| 発売日 | 2008年8月20日 |
| 定価 | 3,990円(税込) |
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amazon.co.jpによる解説
6年ぶりの映画出演で、アカデミー賞主演男優賞をあっさりと受賞したことから察するとおり、ダニエル・デイ=ルイスのハイテンション演技に最後の最後まで引き込まれる力作。彼が演じるのは、役名も同じダニエルで、油田を掘り当てることに夢中になり、富と権力を得ながらも破滅的な人生を送ってしまう男だ。俳優ならば誰もが演じてみたいであろう強烈な役どころ。人間とは思えない残酷さ、卑劣さをちらつかせながら、何かにとりつかれたような欲望と狂気で、2時間38分、緊張感を途切れさせないのは、やはりデイ=ルイスの名演あってこそだろう。
ポール・トーマス・アンダーソン監督の冴えわたる演出は、石油が噴出するシーンで一目瞭然。天に向かって上がる黒い液体とともに、燃える炎、そこに向かって走るダニエルに、レディオヘッドのジョニー・グリーンウッドによる重低音の音楽も相まって、映画的興奮をかき立てる。デイ=ルイスに負けない存在感を発揮するのが、主人公に対し、つねに反発するカリスマ的な宗教家イーライを演じたポール・ダノ(その兄も含めて2役)。人々を扇動する演説ぶりには鬼気迫るものがあり、ダニエルとイーライが長年の落とし前をつけるラストは、稀にみる衝撃度だ。(斉藤博昭)
商品詳細情報
| 販売元 | ウォルトディズニースタジオホームエンターテイメント |
|---|---|
| 発売日 | 2008年8月20日 |
| リージョン | 2 |
| ディスク枚数 | 1 |
| 形式 | DVD |
映画生活ユーザーによる「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」のレビュー
-
う〜ん2008-06-07 by
しまお
2時間40分近く飽きずに観ましたが、ちょっと肩透かしを食らったような感じでした。宣伝文に凄い文句が並んでいたので期待しすぎたのかもしれません。「モンスター」「悪徳の限りを尽くす」などなど。
そもそも私には主人公がそんなに悪い人に見えなかったんです。もちろん悪人ですが、働き者だし、騙すように人の土地を奪うのもある意味商才があるってことでしょう。一線を越えてしまうのは悪いけど、そこまでヒドイ奴とは思えなかったんですよね。
主人公と息子、弟と名乗る男との関係や若い牧師はとても面白く描かれていましたが、長尺の割りに物語りに広がりがなく、狭い世界に終始しているように思いました。少ない登場人物を、それこそ石油を掘るように深く追求するのもアリだと思いますが、そういう意味では牧師の存在感が少し弱いのかも。主人公との合わなさ加減は笑えましたけど。
終盤の親子の確執も結構あっさりしています。そこで明かされる事実で腑に落ちることもあるのですが、省略も多くて。まあくどくど描くより、察しろということなんでしょうね。
衝撃(笑撃!?)のラストは迫力ありました。主人公と牧師が対になっていることがくっきり分かるシーンでした。
が、ダニエル・デイ・ルイスは全体的にくどくて過剰な気がしました。音楽も演出も少々過剰かな。
力作であることは間違いないので、宣伝文に煽られずに観れば満足できるのではないでしょうか。 -
拒絶反応2008-05-28 by
星空のマリオネット
傑作の呼び声も高く、この「映画生活」にも高評価の説得力あるレビューがいくつもあるのですが、私はこの映画の世界に入って行くことは出来ませんでした。
始まってからごくわずかな時間で拒絶反応が出てしまい最後まで克服できなかった。この映画監督の意味ありげな描写に対し嫌悪感を覚えてしまったのです。作為的な映画!
役者への芝居の付け方からして先ず生理的に好きになれないし、冒頭からほぼ間断なく続く意味深(いみしん)で大仰な音楽には本当に閉口させられました(弦楽器に一部打楽器なども組み込まれたやや前衛的でクラシック的な音楽)。何の変哲もないスローな映像に不安感を煽る無闇に大きな音量の音楽を被せることで誤魔化しているように見えたのです。
私には全てがわざとらしいというか、あざとく見えてしまったので、この映画の良いところを感じる目さえ曇ってしまったのかもしれません。
家に戻って確認してみたところ、この監督は「マグノリア」も撮っていたんですね。あの映画についても、蛙のシーンを別にしても何か気持ち悪いというか、まさしく生理的に受け付けなかったという記憶だけが残っています。「ブギーナイツ」も苦手でした。
ダニエルも神父イーライも、人間の理性では抑えきれない心の奥底にある醜い部分が極端に露出していて、そのまま短絡的で暴力的な行動となって現れてしまう。
その照り返しを受け、周囲の人間まで不気味に見えてしまいます。赤ん坊のぐずりと事故にあった子供の奇妙な叫びの一致。教会の善良な信者たちの洗脳された姿。
自分の精神の脆弱さの裏返しである、弱者に対する暴力や強者に対する強がり。
自分の進み始めた道に修正を加えることのできない人間のサガ。
強烈なエネルギーを持ったダニエルと神父であるがゆえに、その歪んだエネルギーは他者を飲み込んでしまう。
そんな巨大で卑小な人間を骨太かつエキセントリックに描いた作品です。
障害を持つにいたった息子からついに逃げ出したダニエルの弱さと悔恨。
血縁にこそ唯一の価値を見いだす彼が息子(分身)を失った絶望。自殺する勇気がなくても自身を終らせるにはどうすればよいのか!
好きではないけれど、ダニエルを演じたダニエル・デイ=ルイスの男には圧倒されました。 -
最高傑作2008-03-05 by
POTCKI
キューブリック再来!
どこを切り取っても完璧なまでによい!
冒頭などは、特に何も起こらない。
台詞もない。
でも、とてつもなく引き込まれた。
キューブリック作品にあったような、絵力とでも呼びたくなるような力が全編にみなぎっている。
PTAは、映画が何たるかを知っている。
早くも次回作を期待してしまう。 -
「我は神なり」2008-05-07 by
クラリス2号
ポール・トーマス・アンダーソン監督
ダニエル・デイ=ルイス主演
ジョニー・グリーン・ウッド音楽
20世紀初頭アメリカ、石油と欲望にまみれた男の一大叙事詩。
全てを支配するためには、地獄に堕ちることさえ辞さない男(デイ=ルイス)
怪しげな宗教で神になりたかった男(ポール・ダノ)
ふたりの近親憎悪ともいえる対立。
父と息子の関係、石油にまつわる利権を絡めながら、壮大なスケールで描かれた男たちの壮絶で孤独な人生がここにあります。そして、現代に通じる「パイプ」が苦く残るのです。
弦楽器と打楽器が印象的な素晴しい音楽、繊細で力強く美しい映像、そして、極太の演技で最後までぐいぐい引っ張られます。
個人的には「つぐない」に続き、年に一度出会えるかどうかの新作映画でした。(まだ5月ですが。)
とどめは、エンドロール最後の献辞。
あの・・アンダーソン監督、こういうの困るんですけど・・
明るくなった場内、慌ててサングラスで涙眼を隠す。
-
ナンパ師オイルマン/流血の十柱戯2008-07-07 by
くりふ
米文学研究者のアネット・コロドニーによると、植民地〜開拓時代にかけ、米国人男性が残した文献を調査すると、新大陸の自然風景を、女性に例えた言い方がよく登場するのだそうです。それも「母」ではなく「処女」イメージ。未開地を開拓し、征服・支配したいという願望の現れだったのでしょうか。
…などと書いてみたのは、本作の主人公がまず、
プロ(?)のナンパ師のようだ、と思ってしまった言い訳です。
地下から探す「金女」。旨味薄けりゃ、次に狙うは「石油女」。
あらゆるコトを尽くし、モノにしたら、今度はヒモと化し、
どこまでも彼女を吸い尽くす。加州の女は全て、オレのもの。
しかし、ナンパ師でもヒモでも、一流(?)であるためには
努力と研鑽、気配りも、嗅覚も、必要でしょう。
それらの向上を怠たらない彼に、学べる部分もありましたね。
劇中、彼は、現実では女を作らず、セックスもせず、
「穴掘り」に熱中していましたが、妙に納得したのでした。
新たに発掘した、石油女との「初夜の儀式」で、
もう一方の、プラトニックなふりしたナンパ師・イーライに
手を出させず、息子に「筆おろし」させたコトも妙に、納得。
天を仰ぎ、ふわふわ浮こうとする方向のイーライに対し、
Plainviewという名の主人公は足元、地の下を常に凝視し、
曖昧なものは許せない。だからイーライのナンパは大嫌い。
しかし方向は逆でも、やってることは似たようなもの。
ナンパの違いでぶつかる二人の、近親憎悪な大喧嘩が見所!
…アカデミー賞映画にこんな書き方してると、
ボウリングの玉、ぶつけられそうな気もしてきましたが…。
中世ドイツの僧院では、ボウリングは元々、並べた棍棒を
悪魔に見立て、玉をぶつけて倒れた数で信仰心が試される
「ケーゲル倒し」という宗教儀式だったそうですが、
その後、信仰から離れ、娯楽として発展したそれが、
本作の重要舞台となるのが皮肉で面白い。原作にないので、
ロケハンで見つけたのでしょうね。原作のモデルとなった、
石油王エドワード・ドヒニーの屋敷だったそうですが。
信仰が形骸化され、(確か)地下という主人公剥き出しの場で、
信仰心が試されて、かつて悪魔と見立てられたモノが、
あるコトに使われようとする…。プレインビューとしては、
浮ついていたものに楔を打ち込み、地に引きずりおろし、
自分の足を、あるもので浸さないと、ナンパバトルは
終わらないところまで来ていたのだろう、と思いました。
仮にナンパで決着ついても、ヒモの暮らしは続くのですが。
「加州のヒモ」として巨大な財を成した彼でしたが、
掘り続けた穴の先で、果たして何を見つけたのか?
掘り出し、外に捨ててしまったものは、彼自身ではなかったか。
掘った穴はもう単純に、墓穴ではなかったか。
米国石油発掘史の黎明期を描き、壮大なスケールと思わせ、
確かに主人公は壮大なスケールだが、それは彼の心に開く、
巨大な空洞がそう思わせたのでは? と放心したのでした。
あと、音楽が素晴しく、サントラは即購入してしまいました。
「トーン・クラスター」という和音のことは初めて知りましたね。
『シャイニング』を参考にしたそうで。あちらは殆ど、
クラシックの既成曲で構成した所が見事でしたが、
本作では、オリジナルで構成されて、とてもカラフル。
かなり出しゃばる所と、見事にマッチする所が混在し、
BGMというより、活動弁士の語りのようでした。
語りといえば、『チャイナタウン』に出演した
J・ヒューストン監督をモデルにしたというD・D=ルイスの、
地響きのような「口説き」は強烈で、説得力ありましたね。
長々と書いてしまいました…。多面的な魅力を持つ作品で、
こんな駄文じゃまだまだ、お伝えできてないでしょうね…。
もう一度みたいですね。何度かみられる厚みがありそうです。 -
凄まじい人間像2008-06-17 by
バグース
主演D.D.ルイスの演技は★5つで、金銭欲に取り付かれ、その為には子供でも何でも利用し目的を遂げる凄まじい人間を完璧に演じ、アカデミー賞主演男優賞は当然でしょう。
又圧倒的な迫力と映像で長丁場を押し切った監督の力量も高く評価できます。
新興宗教的キリスト教牧師を演じた助演のP.ダノは十分そのひねくれた執念を表現し好演だが、最後の場面であまり歳をとってないのが不自然で、(監督の責任ですが)ちょっと減点。そう云えば同じ石油を扱った、「ジャイアンツ」のJ.ディーンの老け役も変だったのを思い出しました。
冒頭台詞なしで綴るプロローグの山師時代の場面は、映像のチカラと云うものを見せつけた。又石油の自噴場面も迫力十分で、試掘の過程や消火作業も非常に興味深く観ました。
今年のベストテンではかなりの所へランクされる作品でしょうが、どうにも好きになれない人物で、共感度や後味の面で、満足度と云われれば70点の評価です。
直接関係は有りませんが、この作品を観ているあいだ中、しきりに崔洋一監督「血と骨」のタケシが頭に浮かんで来ました。この人物もトンデモナイ怪物でした。(蛇足)
-
破滅と完成2008-05-24 by
もじろ
凄い作品でした。
先ず音楽が、まるでホラー映画のように怖い。
「なんじゃこの奇抜な音は〜!」
と、いい気持ちにはなれないまま聞いていました。
が、最後の最後でこの理由が解り
「これは参った!」
という良い意味でのしてやられた感を味わいました。
脚本においても、実は綿密に計算された伏線が
さりげなく散らばりながら最後はキッチリ回収されて
後味は悪いものの、思わず唸ってしまいました。
『善き人のためのソナタ』のように
あらすじはアッサリ説明できてしまう内容で
解り易く、しかしそれでいて単純では終わらない。
返して同じ事を言うと
枝葉があちこちに伸びてはいるものの
物語の根幹が一本太くビシッとしている。
それゆえ心にも素直に響くのだなと思いました。
凡そ人間の汚い部分ばかりを
これでもかと取り上げたような内容でしたが
一瞬の後味の悪さのあと
じわじわと、何とも言えない感覚が沸き起こります。
主役の方の演技がまた、鬼気迫って凄かったです。
強欲の権化とでも言いましょうか
良くない部分を詰め込んだ主人公を
(或いは主人公の良くない部分を)
これでもかというほど表現されていて
嫌な気分になったり、ゾッとしたりしました。
浮世離れしたステロタイプな悪役とは違う
どこか人間味を残しているから、
段々と狂っていくさまが自然だからこその
不気味さを感じました。
内容や後味から考えて
もう一回観られるかどうか悩む所と
全体に暴力的な事や、必要とはいえ音が怖かった事を
20点として個人的に引きはしましたが
実質満点にしたいくらいに、凄まじい作品でした。
お勧めです。 -
ダニエル・デイ・ルイスの圧倒的な演技2008-03-05 by
豊作
油田採掘で財をなした実業家の主人公役のダニエル・デイ・ルイスの圧倒的な存在感。まるで一人芝居のような映画であった。もちろん、掘り当てた油田の地主の家族で、熱心なキリスト教徒の宣教師や、実業家の息子役もいい演技をしているが、まったっくかすむほどである。彼はこれでアカデミー賞の主演男優賞をとった。
元々話が、主人公の若い頃から晩年に至るまでの一代記だからだが、石油採掘というリスキィな事業の発展と拡大に心血を注ぎ、その目的のためには手段を選ばないという生き方は、家族をも巻き込んで、彼の中で激しい葛藤と矛盾を生み出す。主人公はいかにもといった実業家タイプのキャラだ。観念や小理屈よりは実践を重んじ、柔らかな物腰で人当たりよく振る舞うが、鋭い眼光の向こうに見据えるのは、事業の成功、お金儲けである。堅固不抜の意志と行動力。
興味深いのは、掘り当てた油田から原油を港まで運び出すために、従来の鉄道による輸送に代えて、直接送り出すために自らパイプラインを埋設しようとする考えを実行しようとしたときに採った彼の行動だ。これは宣教師との根深い因縁をもたらす。
こういう人間の生き方、価値観、人生観がはらむ矛盾を素材として扱い、生身の生きた姿の中に映し出していく映画は僕個人の中ではポイントが高い。そして、ルイスの激烈な演技は見るものを圧倒する。とくにラストのシーン。が、他の脇役達のキャラクターをもう少し生かした脚本・演出ができなかったか。これは、同じ物事の裏表かもしれないが。それと、158分と長めなのは、台詞のない冗長な若い頃のシーンがあるためだ。もう少し編集して短くできたのではないか。
豊作@Buffalo,NY -
トチのチをスイアゲチャウゾ。2008-10-01 by
獅子王
周りの者すべてが敵といった野心に満ち溢れた男。
故に、血の繋がりや家族を大事にする男。
コノ男『ラスト・オブ・モヒカン』以来、久しぶりに見ましたけど…随分とオジサンになっちゃいましたねぇ…
埋蔵金探しのような男のロマンと言うより、コノ男は「お金」
血の繋がりや家族を大事にするのも、無償の関係を求めて…やはり「お金」
唯一の無償の関係、信頼関係の息子と意思の疎通が出来なくなり、この男は罪悪感と孤独感に悩まされます。
罪悪感を紛らわす為に神父にあたり、孤独感に耐え切れず人に騙される。
皆の前で、バカにしてた奴に辱められ、言われるがままに声を張り上げて告白する場面は、お金の為とは言え、コノ男にとってプライドを捨てるという事は、想像を絶する苦しみなんだと思わせる凄まじいシーン。
血の繋がりや家族を大事にする男。
しかし、それよりもプライド、さらにお金がイチバンな男。
また罪悪感と孤独感に染まったコノ男が、唯一の人生の汚点を前にして、激しい感情をぶつけ払拭する場面は、「オレは誰よりも優れているんだ」、「誰よりも家族を愛しているんだ」といった心の叫びを思わせる哀しいシーン。
私とは、まったく正反対なコノ男、私が勤めてた会社の社長と似てるなぁ…
時間も長く、少々退屈しそうですが、ソノ時代の雰囲気がしっかり表現されてあり、ちょっと変わった音楽で盛り上げてくれますよ。 -
神と闘った男2008-05-29 by
のびた
また、かなり衝撃的な傑作を目にしてしまった。
『ノーカントリー』のシガーのキャラも凄いと唸ったが、この映画のダニエルも映画史に残るダーティーでセンセーショナルな主人公だ。
これほど目的のためなら手段を選ばず、目の前の障害は自分の信念を曲げた振りまでして、取り除く。子供は散々利用して、暴力も平気で振るうし、更に…。
こんな主人公には普通はついていけないし、感情移入などできるものではない。しかし、息子のH.W.に接する時の優しさや、父親に殴られた少女との会話などの描写から、ひどいだけの男ではないことも窺われる。
そして、ダニエル・デイ=ルイスのアカデミー賞当然の演技と、ポール・トーマス・アンダーソン監督の骨太の演出力に圧倒されっ放しで、158分不平ひとつ言わせてもらえず、僕は黙って画面に見入っていた。
そして、ラストのあのセリフ。
今、何を言ったんだ?それはどういう意味なんだ?僕の頭の中には、様々な想いが錯綜していた。
冒頭、神経を逆なでするような、人の不安感を煽るような音楽が流れ、ひたすら、穴を掘る男。
ずっとセリフはない。途中落下して、激痛の中、それでも金を見つける執念。
ダニエルのキャラクターを見事に、印象付けた。
やがて仲間と共に、石油を掘り始める。
近くには赤ん坊。
この子が少し大きくなると、土地の買収の交渉の場に連れていき、その土地の人々の信用を得ようとする。
そして、高大な土地に石油が眠っていると聞いて、そこへ出かけ、掘り当てる。
この地で巡り合った運命の男、カリスマ神父のイーライ。
この二人の対決がメインとなるだろうか。
神など信じない、信じられるのは、仲間でも家族でもなく、自分だけのダニエル。
神を信仰して、何やら怪しげなゼスチャーで悪魔を追い払うパフォーマンスで住民の人気を勝ち取るイーライ神父。
油井やぐらの落成式でイーライを全く無視してから、二人の因縁が表面化する。
ダニエルはイーライを通じて神と闘っていたのではないか。
ラストシーンでそう感じた。
ダニエルはすべての闘いに終止符を打ったのだ。
それにしても、富と孤独が、彼の本当に欲しかったものだったのだろうか。
ラストのあの行為の後、彼のすることは、もう何も無くなってしまったような気がする。
ああ、それであのセリフか。
ポール・トーマス・アンダーソン監督作では、『マグノリア』でも頭をガツンと殴られたような衝撃を味わった。
あの空から降ってきたもののことは、今でも音と共に脳裏に焼き付いている。
この作品のことも、ずっと忘れられないだろう。
これまたキネマ旬報のベストテン入り確実の作品だ。









